2022年6月、ツバキラボ和田は、アメリカ ウィスコンシン州にあるRobust社を訪ねました。今回は、そこで見たRobustの品質に対するこだわりを中心にお伝えしたいと思います。
2022年6月というと、日本では新型コロナウィルスが流行したり落ち着いたりを繰り返していたころでした。PCR検査で陰性であれば海外渡航も可能になった時期ではありますが、このタイミングでの訪米について周りからは心配の声も多かったです。一方で、アメリカでは、マスクをしない人も多く、ほぼ通常通りの社会生活が送られていることに驚きでした。
Robust本社を訪問する前の週は、テネシー州チャタヌーガで開催されていたAAW International Woodturning Symposium 2022に参加しており、そこで初めてRobust社の社長 Brent English氏に会っていました。この時は初対面ではありましたが、もともとシンポジウムに参加した後、ウィスコンシン州に移動し、Robust社を訪問するという予定を組んであったので、そこでは、「来週よろしくね」という程度の軽い挨拶でした。
機械エンジニアがガレージから始めたROBUSTという会社
さて、前置きが長くなりましたが、ウィスコンシン州バーンヴェルドにあるRobust社。バーンヴェルドはまさにアメリカの田舎らしい小さな町です。現在の工場は、地元のスーパーマーケットで空き店舗だったところを買い取り、工場として運営しています。
力強さを連想させる社名と黒と白のブランドカラー。プロフェッショナルエンジニアとして、プロのウッドターナーたちからのフィードバックに真摯に向き合いながら生み出された屈強な木工旋盤の機械。偽りのないクオリティで作り上げる正真正銘の機械。それが現社長Brent Englishが生み出したRobustというブランドです。Robust社はもともと機械エンジニアだったBrentがガレージで創業した会社です。そこから規模が大きくなり今の場所に工場を構えています。
整理された製造現場
工場に入って、驚くのは、とにかく整理されたきれいな工場だということ。これは倉庫ではなく、製造工場です。必要なものが必要なところに必要な数だけ整理されている状態です。
この理由は、事務所に入ったときに壁に貼られていた一枚の紙をBrentが見せて説明してくれました。トヨタ生産方式だったのです。
トヨタの考え方はすごいよ!といってくれたのですが、トヨタ自動車出身の私ですらできていないことをRobustは実践していることに尊敬の念をいだきました。
自社生産と品質に対するこだわり
ひとつひとつのパーツも1台の機械も精緻に作り上げるのも結局は人。良いものをつくりたいというクラフトマンシップが製造現場で表れています。
鋼材をカットし、溶接する。金属素材を削り出しパーツを作る。ひとつひとつを自社で行うRobust。外注はほぼ塗装工程のみだそうです。Robustの機械を見てまず思うのが美しさですが、ひとつひとつの溶接も職人が行っています。これは見る人が見ればその溶接の丁寧な仕事ぶりがわかるようです。普段金属加工されているお客様からRobustの機械を見て「いい機械は溶接がきれいだよね」と言われたこともあります。
下はバンジョーの裏側にはめ込まれるパーツ。こういうのも全部自社でやってるんだよ、と見せてくれました。一つ一つ幾分の狂いもなく生産されていきます。
Brentのものづくりに対する思いは機械設備にも現れています。いい機械はいい。それが古くても、良いものを使う。しっかりとメンテナンスをしながら使えば今の時代でもいい仕事をしてくれる機械はいっぱいある、と教えてくれました。
品質に対するこだわり~出荷前のチェックリスト~
いいプロダクトを届けたいという思いは最後の品質チェック工程にも表れます。まず、20のチェックリストがあり、すべての項目でクリアしないと出荷しないというルールです。
中でも驚いたのは、木工旋盤の中でも心臓部であるモーターとヘッドストック周りのチェック。スイッチを入れて最高スピードで回します。12時間回し続け、異音、発熱などの異常がないかを確認していきます。このテストで少しでも異常があれば出荷はしません。(下の写真はテスト中のものです。温度表記:華氏)
終わりに
最後は、従業員みなさんと記念撮影をしました。Brentをはじめ、みなさんとてもナイスガイばかり。小さなメーカーではありますが、最高峰の木工旋盤をつくるという信念は必ずそのユーザーに伝わるものだと信じています。
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