【2025年版】卓上サイズ(ミニサイズ/ミディサイズ)の木工旋盤まとめ

木工旋盤 卓上サイズ ミディ ミニ サイズ まとめ

木工旋盤を購入したいという多くの人がまず検討するのがミニサイズ、またはミディサイズと呼ばれるクラスの木工旋盤になります。海外ではミニとかミディとかいえばピンとくるのですが、日本だとミディ??ってなりますよね。ミニとフルの中間なわけですが、少しややこしいのでまとめて卓上サイズとさせていただきます。

では、その卓上サイズでおすすめな木工旋盤はどういったものでしょうか?ここではあくまでも現在日本国内で購入できる機種を紹介させていただきます。

ミニ?ミディ?何がちがうのでしょうか?

さて、冒頭でも触れましたが、卓上サイズといっても、大きく分けて2つに分類できます。ミニサイズとミディサイズです。

種類適した作品モーターパワー(HP/馬力)重量主な電源価格
ミニサイズ(小型)小物 / ペン1/2HP~ 3/4HP 30kg~家庭用100V5~6万円程度
ミディサイズ(中型)小物~300mm程度までの食器類など3/4HP~1HP50kg程度家庭用100V / 単相200V10万円~30万円

おおむね上の表のようにそれぞれのスペックを分けることができます。やはり大きく違う点としては、モーターのパワーです。最近のミディサイズの主流は1馬力ですが、ミニサイズではその半分ほどのパワーしかありません。サイズ感としては、若干ミニが小さいかなと感じる程度で、重量も多少軽いという感じです。ですので、よっぽど予算がないという方、またはペンや引き出しのつまみなど「小物しか絶対に挽きません」と断言できる方以外は、ミディサイズを購入されることをお勧めします。

大きいのはできないけど、だいたいこなせるのがミディサイズ

日本を代表するウッドターナーのひとり故・川口康さんの本「ア ブック アバウト ウッドターニング」に、ミディサイズについて次のように書かれています。

ミディサイズの木工旋盤を軽自動車に例えてはなすことがあります。ミニサイズは原動機付自転車といったところでしょう。ミディサイズの排気量は660㏄だけど高速道路に入れるし、流れに沿って走れるし、時々なら長距離も大丈夫。
~中略~
つまり、馬力は小さめだけど普通にウッドターニングできて、時々なら少し大きいのにも挑戦できそうなミディサイズの選択は、置く場所や予算なども含めて考えてもハードルがそれほど高くないのが人気の理由なのでしょう。

川口康 ア ブック アバウト ウッドターニング P15

「軽自動車」に例えるのがわかりやすい!
もちろんミディサイズには限度がありますので、大きなものや重いものを回すことはできませんが、小物から30cm程度のお皿など、 ひととおりこなせるというのがいいところ。大きなものを置けない、という住宅事情も相まって、人気があるということですね。

ミディサイズは、だいたいどれも10~15万円

さて、多くの人が気になるのがやはり価格です。多くのミディサイズは10万~15万円の価格帯で販売されています。ですので、まずは、ここが一つの目安となるでしょう。

もちろんメーカーによっては、ミディサイズであっても40万円程度のものもあります。これはぼったくりではなく、その価格に見合った素材や部品をつかって製造されているので、とてもクオリティが高いわけです。

ですので、安易に価格だけで決めつけるのではなく、自身がどの程度のものを求めているのか、または木工旋盤をこれからどれくらいやっていくのか、など総合的に判断して正しいものを選ぶと良いかと思います。

ミディサイズ購入で注意すべき点

日本だけでなく海外を見ても一番売れるミディサイズ。よって、いかに価格を抑えながらも、より高スペックのものを、と各メーカーがしのぎを削り開発しているゾーンですから、機種も豊富にあります。

逆によく売れるゾーンであるからこそ、注意すべき点もあります。

国内販売が安定していない?

まずは、日本国内での販売が安定していない?という点です。これまで販売されていたものが気づいたらもう売られていない、ということがあります。販売店によって、扱うブランドが変更になることもあり、注意が必要です。

実際、私が保有している機種でも、発売当初に各誌レビューでミディサイズでは最高評価であったDelta 46-460は現在日本では販売店がありませんし、JET 1221VSもなくなりました。この2機種は個人的におすすめできるものだったのですが。。。

販売がなくなるというのは、その後のアフタサポートもいずれなくなるということです。ある程度販売店で消耗品やパーツをストックしているかと思いますが、将来的には不安要素となります。

結局中身は一緒?

ミディサイズはよく売れるゾーンであるからこそ各メーカーからたくさんのモデルが販売されているのですが、スマートフォンのように正直スペックは飽和状態。ですから、見た目は違っても、だいたいできることは一緒、という言い方もできるわけです。

  • 1馬力モーター
  • 回転直径 30cm
  • 無段変速

基本スペックは飽和状態ですので、最近は、ちょっとした改良の積み重ねで使い勝手をよくしたモデルが販売されています。

【2025年】国内で購入可能な卓上サイズ木工旋盤

前置きが長くなってしまいましたが、現在国内で購入可能な卓上サイズ木工旋盤です。記載しているスペックは各販売店やメーカーが公表しているものになります。画像も各販売店からお借りしています(もしNGの場合はご連絡ください)

RIKON 木工旋盤 ライコンライト (70‐100)

ライコンライト
電源単相100V (50/60Hz)
モーター1/2HP
最大回転直径約300mm
センター間距離約400mm
回転スピード約430、810、1230、1810、2670、3900RPM
(ベルト掛け替えによる6段変速)
主軸サイズ 1インチ×8tpi
サイズ幅約807×奥行約292×高さ約457mm
重量約40.2kg
スピード調整ベルト掛替
スピードメーターなし
正逆回転なし
価格¥84,700(税込)
販売オフコーポレーション

ミニサイズの木工旋盤。最大回転直径は300mmであるものの1/2馬力のモーターでかつ40kgという重量を考えると小物専用といったところ。写真を見ると、ボディの肉厚の薄さが非常に気になります。またバリアブルスピード(無段変速)もないため、回転速度を変更するにはベルトの掛替えを毎回しなければいけません。大きなものを挽かず、スピードの変更の手間も厭わない方には、価格も安くいいのではないでしょうか。

ピーウッド 木工旋盤 PWL-450VD

木工旋盤 PWL-450VD ピーウッド
電源単相100V (50/60Hz)
モーター3/4HP (550W)
最大回転直径約300mm
センター間距離約450mm
回転スピード低速 約600〜約1400回/分
中速 約1200〜約2800回/分
高速 約1600〜約3800回/分
主軸サイズ 1インチ×8tpi
サイズ幅820mm×奥行250mm×高さ410mm
重量約33kg
スピード調整ベルト掛替/バリアブルスピード
スピードメーターあり
正逆回転なし(オプションで対応可)
価格¥72,600(税込)
販売 P-TOOLS.COM

ミニサイズの木工旋盤。モーターが3/4馬力で無段変速のバリアブルスピードとスピードメーターがついていることもあり、スペック的には上のライコンライトに比べると価格も少し上がる程度で魅力的。ですが、注意すべきは、33kgという軽さです。よりパワーが出せるモーターを積んでいるのにより軽い。写真を見てもボディが薄い。これでは、大きなものを回しているときに振動が発生しやすいのではないかと想像します。最大回転直径300mmとありますが、現実的に難しいのではないでしょうか。ペンやバチ、小物など小さいものを挽く分には、バリアブルスピードもついていますし、勝手が良い機種ではないでしょうか。

RIKON 木工旋盤 ライコンミドル2 (70‐220VSR)

ライコンミドル
電源単相100V (50/60Hz)
モーター1HP
最大回転直径304mm
センター間距離419mm (延長ベッド 760mm)
回転スピードL位置(低速)約 250-750rpm
M位置(中速)約 550-1650rpm
H位置(高速)約 1300-3850rpm
主軸サイズ 1インチ×8tpi
サイズ幅約1080×奥行約310×高さ約440mm
重量約52kg
スピード調整ベルト掛替 /バリアブルスピード
スピードメーターあり
正逆回転あり
価格¥139,920(税込)
販売オフコーポレーション

ミディサイズの木工旋盤。1馬力モーター、最大回転直径300mm、バリアブルスピード、スピードメーター、正逆回転といった現状のミディサイズの標準的なスペックで、バランスの取れた機種です。先代モデルの人気を引き継ぎ、この後継モデルはスイッチボックスがマグネット式となり好きなところに取り付けられるようになり、クイルも90mmの移動距離、ツールレストも形状がアップデートされ使い勝手が向上しています。生木などの重たいものを回さないのであれば、価格も税込みで12万円を切っており、多くの人にとって第1候補になるのではないでしょうか。

ACUTUS 1420VDA

ACUTUS 1420VDA
電源単相100V (50/60Hz)
モーター1HP(750W)
最大回転直径約350mm
センター間距離約510mm
回転スピード 低速250-750/中速550-1650/高速1300-3850
主軸サイズ 1インチ×8tpi
サイズ幅約1035×奥行約305×高さ約450mm
重量約52kg
スピード調整ベルト掛替/バリアブルスピード
スピードメーターあり
正逆回転あり
価格¥99,000円 (税込)
販売NAKAJIMA TOOLS

NAKAJIMA TOOLSのオリジナルブランド「ACUTUS」のミディサイズの木工旋盤。日本国内で販売しているミディサイズの中では唯一最大回転直径が350mm(14インチ)で、一回り大きなサイズを回せます。そのほかの仕様もしっかりこのクラスの標準的なスペックで構成しています。NAKAJIMA TOOLSでは、そのほか木工旋盤を始めるにあたって必要なツールをまとめてセット販売されているので、悩むことなくまず一通りそろえたい、という初心者の方は便利でしょう。
しかし、実機レビューではパワー不足で回転が止まってしまったり、電気系統の接続の問題なのかスイッチを入れても起動しない、正回転/逆回転の切り替えスイッチが機能しないといったことも報告されています。高スペックの割に、価格設定が低いところは注意が必要です。

LAGUNA REVO 1216

Laguna REVO1216
電源単相100V (50/60Hz)
モーター1HP
最大回転直径約315mm
センター間距離約383mm (延長ベッド 648mm)
回転スピード(低速)50‒525rpm
(中速)325‒1750rpm
(高速)650‒3500rpm
主軸サイズ 1インチ×8tpi
サイズ長さ747mm×奥行き226mm×高さ442mm
重量約54kg
スピード調整ベルト掛替/バリアブルスピード
スピードメーターあり
正逆回転あり
価格¥ 159,500 円 (税込)
販売オフコーポレーション

ミディサイズの木工旋盤。2018年に発売開始された比較的新しい機種。それだけあって、気の利いた操作性や拡張性など他メーカーには見られない工夫が多いです。「P.W.M.(=Pulse Width Modulation)」という制御システムを採用しており、低中速域のトルクに期待できそうです。そのほかスペック的には、一般的なミディサイズの木工旋盤に準じていますので、そのあたりを、15万円を超える価格で納得できるかどうかです。オプションの33kgあるスタンドは魅力的ですね。

VICMARC VL150SM

Vicmarc VL150 SM 木工旋盤 ヴィックマーク
電源 単相200V
モーター2HP インバーター搭載
最大回転直径約300mm
センター間距離約350mm
回転スピード3段階 15~3460RPM
主軸サイズ M30x3.5
サイズ長さ750mm×奥行き350mm×高さ565mm 750x350x565
重量約62kg(上下分離可、30+32kg )
スピード調整ベルト掛替/バリアブルスピード
スピードメーターあり
正逆回転あり
価格¥ 462,000 円 (税込)

世界の著名なウッドターナーが絶大な信頼を寄せるVICMARC。ミディサイズであるVL150SMの日本仕様はこの小さなボディに2馬力のモーターを積むというもの。コンパクトなボディにハイパワーなモーター。生木でも重量気にせず回せます。
そして、ほかのミディサイズに比べて価格は46万円とずば抜けている理由はこのハイパワーのモーター以外にもあります。
1.耐久性の高い日本製ローラー・ベアリングや富士電機製インバーターを採用。
2.高い加工精度を維持し続ける日本製大型NC工作機械によって製造。
3.スイッチなど比較的寿命の短い消耗品には広く流通している汎用部品を採用。
とにかく絶対間違いのないものを選びたい、お金には余裕があるという方はぜひ。

どれを選ぶ?

国内で購入可能な機種を上げてみましたが、いかがでしょうか?かつては、ほかにもお勧めできる魅力的な機種もありましたが、残念ながら現在販売されていません。

海外のマーケットを見ると他にもさまざまな機種がありますので、個人輸入という手段もありますが、何かあったときの保証はなく、自己責任です。

価格帯も幅広く一概にどれがいいというのは難しいです。下の記事も参考に、ご自身の制作物に一番合うものをじっくり検討してもらえるといいかと思います。