木工旋盤のボウルターニングや深さのある器の仕上げにおいて、最も神経を使うのが「サンディング」工程です。
「円周方向の深い傷(スクラッチマーク)がなかなか消えない」
「手持ちのペーパーでは、ペーパーがすぐつまる、痛む」
「熱を持ってしまい、表面に割れが入ってしまう」
「深い器の内底や急な立ち上がりに手を入れるのは怖い・届かない」
そんなウッドターナーの悩みを解消するために開発されたのが、英国を代表するウッドターナー兼ツールデザイナー、サイモン・ホープ(Simon Hope)氏が手掛ける名作「PRO-SANDER(プロ・サンダー)」です。
世界中のプロターナーから絶大な支持を集めてきたこのツールが、老舗刃物メーカー「Crown Hand Tools」社とのパートナーシップにより、シグネチャーモデルとしてラインナップされました。
特徴
1. デュアルベアリングによる超スムーズな自転(慣性回転)
ヘッド内部に高精度ベアリングを2基搭載。旋盤で回転するワーク(作品)に軽く当てるだけで、パッドが滑らかに回転します。
直接ペーパーを手で押し当てるのと異なり、常に接触面が動き続けるため、摩擦熱の発生を劇的に抑え、ペーパーの目詰まり・消耗を最小限に防ぎます。また、一方向への深いスクラッチ傷が入りにくく、均一で美しい木肌に仕上がります。
同じような製品には、軸受けにすべり軸受け(ブッシュ)を用いたものもあり、回り出しが重かったり、惰性が続かず止まりやすかったりします。Pro-Sander はヘッド内部にシールド構造のデュアルベアリング(2基)を内蔵し、これを真鍮のリテイニングブッシュで保持。わずかにワークへ接触させるだけの極めて軽いタッチでも、スムーズに高回転を維持します。
2. 深いボウルも安全に攻略できる「可変アングルヘッド」
ボルトを緩めるだけで、ヘッドの角度を自由自在に調整可能。
ボウルの内底、急な立ち上がり、アンダーカットなど、刃物や手では届きにくい・危険を感じる箇所に対しても、無理のない体勢・安全な距離から狙い通りの角度でアプローチできます。
角度調整部には堅牢なスウィベルロック機構を採用。一度六角ボルトで角度を決めて締め込むと、激しい振動や負荷がかかってもガタつきにくく、狙ったアングルをガッチリ保持します。深底ボウルや急な立ち上がりの内面でも、ブレずに安定した研磨が可能です。
3. 高い剛性と操作性を両立した削り出しボディ
プロユースに耐えうる堅牢な削り出しボディに、滑りにくく手に馴染む Softex グリップを採用。作業中の不快な振動を吸収し、長時間のサンディング作業でも手の疲労を大幅に軽減します。
4. 番手交換もワンタッチ。消耗部だけを交換できる設計
パッド部は面ファスナー仕様のため、粗磨きから仕上げ磨きまでのペーパー交換がスムーズです。柔軟性のあるインターフェースパッドを併用することで、複雑な曲面にも綺麗に追従します。
さらに、ヘッド(アーバー)自体もワンタッチで着脱可能。番手ごとにアーバーを用意しておき、ディスクを貼ったままアーバーごと持ち替えるという使い方ができます。ディスクを剥がして貼り直す回数が減るぶん、面ファスナー面の消耗を大きく抑えられます。
そしてもうひとつ。摩耗するフロントのネオプレンパッドだけを交換できる分解構造になっています。面ファスナー面が痛んでもアーバー本体は使い続けられるため、ランニングコストが抑えられる、Hope 独自の設計です。
細部の配慮も。アーバーの径は、装着する研磨ディスクよりわずかに小さく作られています。ディスクが少しはみ出すことでパッドの縁が保護され、ワークに黒い擦れ跡がつくのを防ぎます。
しかも最初から3つのサイズのヘッド・パッドが付属し、様々な作品サイズに使え、買い足し不要。サンドペーパーも付属品として含まれており、とてもコスパが良いです。
- 36mm:ゴブレット、小鉢、急カーブのアンダーカット・際(キワ)
- 47mm:最も汎用性の高い標準サイズ
- 72mm:直径30cm以上の大皿やボウルの外周・底面を一気に均一研磨
使い方のコツ
- 回転数は低めから。 ワークの周速でディスクが回るため、旋盤の回転を上げすぎると発熱します。仕上げ番手ほど落として構いません
- 押しつけない。 当てる圧力ではなく、接触時間で削ります。軽く触れる程度で十分回ります
- ワークの中心を外して当てる。 中心付近は周速がゼロに近く、ディスクが回りません。少し外周寄りの、回転が乗る位置で当てるのが基本です
- 番手は飛ばさない。 前の番手の傷を消していく道具なので、120→180→240→320→400→600 と順に上げるのが最短ルートになります
こんな方におススメ
- ボウルや器の内面サンディングで、熱によるヒビ割れや指の火傷・巻き込みが不安な方
- 研磨傷(スクラッチ)が目立たない、一段上の滑らかな仕上がりを追求したい方
- ドリルを使ったパワーサンディングよりも、手元の繊細なコントロール・安全性を重視したい方
- 永く使える、精度と剛性の高い本格的なサンディングツールを求めている方
Simon Hope について
英国ノーフォークを拠点とするプロフェッショナル・ウッドターナー。2005年頃から、自身が使いたいと思える道具を自分で作るという方針で工具開発を開始しました。
クイックリリース・ハンドルシステムを軸に、ホローイングツール、スクレーパー、サンディングシステム、テクスチャリングツールへと展開。世界中のディーラーが扱い、ホビイストからプロまで支持を集めています。
なお Hope Woodturning は、英国シェフィールドの Crown Hand Tools と協業関係にあります。Crown がクライオ処理を施したタング刃(ビーディングツール、薄刃パーティングツール、ラジアススキュー等)が、HOPE のクイックリリースシステムに対応する形で供給されています。
セット内容
コンプリートキット
- プロサンダー本体 + 六角レンチ
- Softex グリップ
- 36mm ヘッド+パッド(弾力の異なる2種)
- 47mm ヘッド+パッド(弾力の異なる2種)
- 72mm ヘッド+パッド(弾力の異なる2種)
- 研磨ディスク(120 / 180 / 240 / 320 / 400 / 600番)各サイズごとに2枚