北海道札幌市で北海道の里山材を活用して木製食器を制作されている株式会社チエモク様。工房がある札幌市小別沢のまさに地元の木材を積極的に活用し、「手然」(てしか)や「嘉の輪」(かのわ)といったオリジナルブランドのデザインされた美しい食器を作られています。この度、株式会社チエモク様にCNC木工旋盤 TT535AFを導入させていただきました。当初目的としていた生産性向上はもちろん、それだけではないプラスの効果も表れたようです。

木工旋盤加工が肝で一番重要だけど、一番のネックだった
お皿やお椀といった木製食器は、木工旋盤加工でつくるものではあるものの、その木工旋盤加工が常に悩みでした。人の手に頼っている以上、効率をあげるのも限界があります。加工時間だけでなく、その形状を揃えるということが難しい。さらに里山の木材をつかうとなると、様々な樹種を扱うことになります。同じ形状でも樹種が異なれば堅さも違い、加工の感覚が異なります。そういったことも生産性を上げられない要因でもありました。
さらに、オリジナルアイテムの生産以外にも、加工を依頼されることもあります。それが旋盤仕事であれば、職人のキャパシティを考えると請けられないこともあるとのことで、機会損失を生んでいました。
そんな悩みを抱えているときにツバキラボから紹介を受けたのがCNC木工旋盤。これまで苦労していた旋盤加工が自動化できること、加工時間や形状の標準化ができることはまさにチエモク様にとって望んでいた機械であったため、北海道中小企業総合支援センターの設備導入支援事業の制度を活用して導入することを決めました。

CNC木工旋盤のお披露目会と納品
導入にあたっては、チエモク様が普段お世話になっている機械商社である丸進機工社様にご協力いただきました。発注時には、岐阜のツバキラボまでチエモクの代表の三島千枝さんと丸進機工社の松本社長が見学に来られました。
機械が日本に届くタイミングがちょうど年末になったこともあり、工房への導入は年明け後の1月になり、そのタイミングで丸進機工社様の場所をお借りして、お披露目会も実施させていただきました。

チエモク様の工房への搬入・設置も丸進機工社様が請け負ってくださり、無事納品することができました。
期待した生産性向上が実現し、新規案件の受注につながる

CNC木工旋盤の導入の一番の目的だった生産性向上は実現しました。これまであんなに苦労していた旋盤加工が難なくこなせるようになり、加工のクオリティやスピードが格段に上がりました。
生産できる量が増えたことで、これまでだったら躊躇していた量の多い案件も受けられるようになりました。
こちらは、札幌テレビ塔が登録有形文化財認定された記念品の時計です。納期も限られ、まとまった数量の発注であったこの案件も、CNC木工旋盤があれば対応可能ということで受注できたそうです。

加工スピードの向上がもたらした予期していなかったプラスの効果
そしてこの生産性向上によって予想していなかった効果があったんです、と代表の千枝さんが教えてくれました。
それは、1日に生産できる数が増えたことで、前後工程の作業時間の短縮や効率の向上をしなくてはいけないという課題が浮上し、現場に改善意識が芽生えたことです。これまでは改善を呼びかけても現場からアイデアがでることはあまりなかったそうです。今は、現場スタッフにCNC木工旋盤の操作をまかせたことで、刃物交換の最適なタイミングや、チャッキング(材料の固定)の仕方で仕上げ精度にどう影響するかを自ら考え、よりよいやり方を模索するようになったとのこと。自分の改善案がよい結果になって表れるという流れを体験し、意識が変わったようです。

細かい設定ができない付属のCAM。新しいCAD/CAMに期待
圧倒的にメリットが大きいCNC木工旋盤ですが、すべてが望み通りに良いというわけでもないようです。
白黒画像データからGコードを生成できる付属のCAMソフトはたしかに利便性はあるものの、ちょっとした手直しが必要な時は画像データから直さなければいけなかったり、細かい設定ができないなど、不便を感じているとのこと。
これについては、新しく開発しているCAD/CAMに期待している、とのことです。
(*2025.7現在、より細かく加工設定ができるCNC木工旋盤用のCAD/CAMを準備しています)
株式会社チエモク



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