木工旋盤を始めるとき、機械を購入するのと同時に刃物を一通りそろえる必要があります。では、どんな刃物を買えばよいのでしょうか?1本あれば大丈夫!といった万能な刃物はありません。木工旋盤を楽しむには必ず必要となる刃物が何本かあるんですね。
今回はその刃物の説明とおすすめなセットの紹介です。
はじめに揃えるべき刃物
はじめに揃えるべき刃物は以下のものです。まずはこの6本が基本になりますが、スクレーパーにはさまざまな形状があるので、必要な形状を追加してもよいかと思います。
・シャローガウジ(または、スピンドルガウジ)
・ボウルガウジ
・スキューチゼル
・パーティングツール
・スクレーパー
それぞれの刃物の用途
それぞれの刃物の用途を簡単に解説します。センターワークやフェイスワークなど初めての方には難しい専門用語が並んでいますので、言葉がわからない場合は、この表の下にあるリンクを参照してください。
| ラフィングガウジ | |
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スピンドルワーク/センターワーク(縦木)専用の刃物で、角材などから丸い形状に削る際に使用する刃物です。ラフ(Rough=粗く)という名前の通り、粗削り用の刃物。注意が必要なのは 、フェイスワーク(横木)には使用できません(!危険!) |
| シャローガウジ(または、スピンドルガウジ) | |
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シャロ―(浅い)と呼ばれる通り、溝が浅い刃物になります。スピンドルという名称がつくので、スピンドルワーク専用かと思われやすいですが、フェイスワークでも使用可能です。ただし、スピンドルガウジは30度や35度など研ぎ角を鋭角にすることも多く、それらの鋭角気味に研いだ刃物をフェイスワークで使用するのは危険です。 |
| ボウルガウジ | |
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ボウルガウジはシャロ―ガウジと形状が似ているので、初心者の方は良く混同されやすい刃物です。名前にボウルとつくので、お椀やサラダボウルなどの器の制作に用いることが多いです。ですが、センターワークにも使用できます。別名ディープフルーテッドガウジといい、溝が深い(ディープ)ことがスピンドルガウジと違うところです。頻繁に使用する刃物の一つ。 |
| スキューチゼル | |
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スキューチゼルは棒状の加工(スピンドルワーク)で使用する刃物で、マスターすればサンディングペーパーが不要になるくらいとてもきれいな切削面を作り出します。 尖った先端を利用して、チャックの掴み部分を削り出すときにも使用します。 スキューには刃がカーブした形状もありますが、まずはオーソドックスなまっすぐなものがあればよいでしょう。 |
| パーティングツール | |
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パーティングとはpart+ingで”分ける/切り離す”という意味で、スピンドルワークで材料に溝をつくときや、その名の通り切り離すときに使用します。 |
| スクレーパー | |
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木材をカットする刃物ではなく、かじり取るように使用する板状の刃物です。多くの形状のスクレーパーが存在しますが、まずもっておきたいのはラウンドスクレーパーと呼ばれる先端が丸いタイプ。お椀やボウルなどの内側の成形に役立ちます。 |

刃物メーカーを知ろう
木工旋盤用の刃物の多くはイギリス シェフィールドという町で生産されています。このシェフィールドという町は、金属加工が盛んな街であり、刃物のまちとして知られています(世界の3Sと呼ばれる日本の関、ドイツのゾーリンゲン、そしてイギリスのシェフィールド)。そして木工旋盤用の刃物のメーカーはこのシェフィールドに多く存在しています。
プロのウッドターナーに愛用者が多いCrown Hand Tools。クライオジェニックシリーズ、M42ハイス鋼を使用したRazor Edgeシリーズ、ホローイング用刃物 Revolutionシリーズ、替え刃式刃物Carbide Proシリーズなど、幅広いラインナップ。ツバキラボツールが取扱い
・Hamlet Craft Tools:木工旋盤同好会取扱い
・Robert Sorby:オフ・コーポレーション取扱い
・Henry Taylor
また、最近では新興メーカーや機械メーカーがオリジナルで刃物を開発するなど動きが活発になっています。
新興メーカーのものは、独自の技術や設計思想に基づいて開発されていることもあり、初心者にとっては少し扱いにくかったり、オーバースペックなものも多いです。そのため、まずは老舗メーカーの刃物を一式そろえ、技術が上達してきたら、 老舗メーカーや新興メーカーのハイスペックな刃物の中から、自身の創作物に合うスペックの高い、特徴のある刃物を購入していくことをおススメします。
・Carter & Son Toolsworks:近年増えているM42ハイス鋼を使用した刃物と取り替え式のハンドルという組み合わせ。アメリカ シアトルのメーカー。オフ・コーポレーション取扱い。
・Woodcut:ニュージーランドの木工旋盤ツールメーカー。ホローイング用刃物Pro-Formeシリーズが有名。その他、研ぎジグTRU-GRINDシリーズは日本国内愛用者が急増中。ツバキラボ とリアル改。
・Nakajima Custom Tools:国内で唯一オリジナル刃物を開発するNkajima Custom Tools(NaCT)。日立金属製の粉末ハイスである「HAP-40」を使用した刃物とアルミ合金のクイックチェンジハンドルの組み合わせは一級品
・Easy Wood Tools:難しい技術がなくてもだれでも楽しめるウッドターニングを実現した超硬替え刃方式の刃物といえばEWTというほど広く知られる存在に。木工旋盤同好会/オフコーポレーション取扱い
初心者におすすめな刃物セット
最初に揃えたい刃物をセットにした商品を出しているメーカーもありますし、そういうセットを独自で販売しているショップもあります。バラで購入するよりは安く購入することができるので、最初に購入する際はセットを購入されると良いかと思います。
コロナ以降、原材料の高騰、円安の進行でイギリス製の刃物の価格が大幅に上がりました。その分中国製の刃物は価格が低く設定されており、費用を抑えたい方にとっては魅力的です。
刃物選びはとても重要です。品質と予算を踏まえ、最適な選択をしてください。
Crown Hand Tools クライオジェニック 6本セット ( ¥64,900(税込) )

Crown Hand Toolsはイギリスの老舗木工用刃物メーカー。刃物の産地であるシェフィールドにあり、その確かな品質は世界中のウッドターナーから信頼され 高い評価を得ています。クライオジェニックシリーズは、一般的に使われるM2ハイス鋼をCrown Hand Toolsの高い技術力で極低温処理を施し、より耐久性を上げたシリーズです。 漆黒の黒で塗装された野球のバットなどにも使われるアッシュのハンドルとシルバーのロゴプリントの組み合わせがかっこいいです。国内でCrown Hand Toolsを正規に取り扱う「ツバキラボツールズ」では、このクライオジェニックシリーズを6本セットにして販売しています。
Hamlet Craft Tools 6本セット ¥44,000(税込)
同じくイギリス シェフィールドの老舗メーカー Hamletも多くの愛用者がいる刃物メーカーです。国内では、「木工旋盤同好会」が正規に取り扱っており、初めに揃えたい6本として同様のセットがウェブサイトに掲載されています。
Robert Sorby 6本組 ビギナーズツールセット ¥72,710(税込)
Robert Sorbyもイギリス シェフィールドの老舗刃物メーカーのひとつ。国内ではオフ・コーポレーションが長く取り扱っていることもあり、ユーザーも多いです。このRobert Sorbyも初心者向けに同様のセットを販売しています。このほかにもRobert Sorbyでは、さまざまな刃物セットが販売されているので、間違えて違うセットを購入しないように注意しましょう。
ピーウッド 木工旋盤用バイト ラージサイズ6本セット ¥ 28,600円 (税込)
どうしても費用を押さえたいという場合、こちらのセットも候補として検討されてはいかがでしょうか?P-TOOLSのオリジナル木工旋盤用刃物のセットは、中国製で、とにかく安さを求める人には最適です。
Starter 7本組 ターニングツール セット ¥38,500(税込)
こちらのセットも価格が低く設定されており、費用を抑えたい方は候補として検討されてはいかがでしょうか?NAKAJIMA WOODTURNING STUDIOが販売する「Acutus」シリーズの刃物セットです。中国製の刃物ですが、M2ハイス鋼にクライオ処理をした金属をしようしています。他のセットと違い、7本のセットとなっており、お得感があります。

刃物選びは間違いのないものを
木材を加工する際に、自分の手の感覚を伝える刃物は木工旋盤の中では非常に重要であり、その選択は確かなものであるべきです。老舗メーカーのものを選べば絶対安心というわけではありませんが、世界中の多くのウッドターナーに支持されているわけですから、信用に値します。世の中には、安い刃物セットも存在します。いいところ、わるいところもちろんありますので、それらを理解して購入するようにしましょう。







