【スペシャル6本セット】Crown Hand Tools：Cryogenic

現在流通している旋盤用の刃物は、ハイス鋼を使っています。
ハイス鋼とはハイスピード鋼の略であり、高速度工具鋼と呼ばれるものです。
切削工具や金型に用いられることが多く、非常に硬い鉄鋼材料です。
そしてそのほとんどがM2ハイスと呼ばれるものです。
このM2ハイスは最も流通しているハイス鋼のため、リーズナブルに作ることができます。

Cryogenicシリーズは、このM2ハイスをサブゼロ処理をしてさらに性能を高めたものになります。
サブゼロ処理とは、鋼における熱処理方法の一つで「零下処理・深冷処理」ともいいます。焼き入れをした鋼材を0℃以下で急速に冷却することで、温度が低ければい低いほど耐摩耗性を向上させることができます。

Razor Edgeシリーズは、これはM2ではなくM42ハイスを使用したものになります。
M42はコバルトハイスともいい、コバルトやバナジウムの含有量が高く、
それにより、切れ味がよく、摩耗性も高いことから長切れするという特徴があります。
RazorEdgeシリーズはこのM42ハイスをさらにサブゼロ処理しているので、他のメーカーのものよりわずかに性能が良くなります。

最後に、ツバキラボツールズで取り扱いがありませんがPRO-PMシリーズというものもあります。これは粉末ハイスをつかった刃物になります。PMはPower Metalの略です。
粉末ハイスは、ものすごく細かい粒子を熱と圧力で固めた金属で、M42ででてくるコバルトやバナジウムなどの物質を均一に配合できる特徴があります。
そのため性能も高いですが、すこし割高になるという欠点があります。

旋盤刃物の進化は、炭素鋼⇒M2ハイス⇒粉末ハイス⇒M42ハイスという順番です。
粉末ハイスは性能は良いが、高いというところから、同等の性能で安く作れるM42に移っていった、とみることができます。

あくまで当店店長の使用感でのお話ですが、
Razor EdgeシリーズとPRO-PMシリーズの性能はほぼ似たようなものですので、PRO-PMよりもわずかにですがお値打ちのRazor Edgeシリーズをお勧めしています。

木工旋盤初心者の方に【Cryogenicシリーズ】か【Razor Edgeシリーズ】どちらがお勧めかという点ですが、予算が許すのであれば、性能の良い刃物をお持ちになることは悪いことではありません。
ただ、すべての作業においてその高い性能を求められるわけでもないので、私どもの商品でいえば、まずはCryogenicシリーズでそろえ、
よく使うスピンドルガウジやボウルガウジをRazor Edgeで追加で持っておく、というのが一番おすすめです。
※Razor Edgeシリーズには、Cryogenicシリーズの【スペシャル6本セット】のようなセット売り商品はございません。

木工旋盤の刃物は、それぞれの種類の刃物で1本あれば済むというわけではなく、刃の角度で使い分けたり、粗削り用・仕上げ削り用と分けたり、大きい制作物は大きい刃物を使うなど同じタイプの刃物でもいずれ数本持つことになります。