消費者を辞めて、愛用者になろう
工業化が進む60年代、70年代に、私たちの「暮らし」は大きく様変わりしました。
必要な日用品は作る(または、地域の職人に作ってもらう)のではなく、大量生産された工業製品を購入するようになり、そのために必要なお金を稼ぐための仕事をするようになりました。
そんな時代に第一線で活躍する工業デザイナーであった秋岡芳夫は、デザイナーの表舞台から降り、
「消費者を辞めて、愛用者になろう」というスローガンを掲げ、活動するようになります。
↑秋岡芳夫の呼びかけであつまったデザイナー、作家、カメラマンなどのクリエーターたち。グループ モノ・モノは毎週、深夜まで活発に語り合ったそう。
人は本来どうあるべきか、ものづくりはどうあるべきか
本来、人とはどうあるべきなのか。
現代の人は、何を軸に生きればいいのか。
物質的に十分に満たされた私たちの心は何を求めているのでしょうか。
このような疑問に対して、秋岡芳夫は50年以上も前に警鐘をならし、私たち日本人にその歩むべき方向性を訴えていました。
忙しい日々のなかでも、ものをつくることをとりいれることで、どれだけ温かみがある暮らしになるのか。
手先、指先をうごかしものを作ることが、どれだけ心を満たしてくれることなのか。
本書の内容には、時代背景が異なることから主張が合わない箇所もありますが、
もてあます以上のものに囲まれた現代の私たちが、暮らしを見つめなおすためのその原点と方向性を示してくれます。
目次
まえがき
第一章 ほんとうの物づくり
執念でつくる
人間のための物づくり
虚業と里産業
第二章 病める現代の物づくり
つくりすぎ、集まりすぎ、使いすぎの公害
おかしな商品をチェックしよう
ケチのすすめ
第三章 続・本当の物づくり
街で作るのは素晴らしい
手で触れられる展示
情報社会と触覚
生活技術
新幹線の限界速度
自動車と自転車
祭のない団地
誤生産商品
ふるさと再考
学校給食
伝統工芸
これからの住宅間取
現代の「里モノ」
第四章 道具をつくる、道具をつかう
箸
漆の器を見なおそう
小刀のことなど
第五章 工具づかいの知恵
第六章 「類猿人」にはなりたくない
わたしの名刺
近所に工作人間がいっぱいいたぞ
いま日本中に「類猿人」が
人間は創ることをやめたのか?
「ホビークラフト」がいまアメリカで
漆器や手織の伝統を残したのはユーザーなのか?職人なのか?
創る町、繕う町
工作人間の住める街に
第七章 工芸村づくりの試み
工芸による村づくりのこころみ
あとがき
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